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生駒芳子と長谷川理恵が教える「食がつくる日本のキレイ」

生駒芳子と長谷川理恵が教える「食がつくる日本のキレイ」

赤枝 いつみ

監修
赤枝 いつみ
公衆衛生分野での職務経験豊富な管理栄養士
  • 撮影
    田中一人
  • テキスト
    タナカヒロシ
  • 撮影
    田中一人

2017年10月10日[2018年09月03日更新]

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「いちおう見かけはやせていたんですけども、からだの状態は最悪で。寒い、疲れる、肩こりになる。もう冷えて冷えて......」

芸能界屈指のマラソンランナーとして知られ、野菜ソムリエの資格を持つなど、健康的なイメージのファッションモデル、長谷川理恵さん。しかし彼女はファッション誌専属モデル時代に行っていた無理なダイエットを振り返り、その危険性に警鐘を鳴らします。

世界保健デーの4月7日、日本栄養士会が主催する『第38回健康づくり提唱のつどい』が、東京・ヤクルトホールで開催されました。1980年から毎年行なわれているシンポジウムで、今年のテーマは「Japan Beauty 食から未来の"キレイ"をつくるということ―次世代に伝えつなげる食育の推進―」。

健やかに美しくなるためには、いかに適切な食事が重要であるか、専門家やファッションジャーナリストの生駒芳子さん、前述の長谷川理恵さんによる講演が行なわれました。

生駒芳子(いこま よしこ)

『VOGUE』『ELLE』副編集長、『マリ・クレール』の編集長を経て、2008年独立。現在はフリーランスとして、ファッション、アート、デザイン、クールジャパン、伝統工芸まで時代の最先端を追うジャーナリスト、プロデューサーとして活動。伝統工芸をベースに置いた新ブランドを 2017年秋に立ち上げ予定。

https://twitter.com/yoshikoikoma

長谷川理恵(はせがわ りえ)

1973年、神奈川県生まれ。1993年よりモデルとして活躍する。ランニング歴16年、フルマラソン自己ベストタイムは3時間15分36秒。鎌倉に移住し、家族との時間を大切にしながら活動を続けるライフスタイルが幅広い世代の女性に支持されている。また、「Rie's Kitchen」という、食・ファッション・スポーツを融合させたさまざまなACTを推進。2016年には、鎌倉の山田宗徧流家元が考案した現代人のためのヨガ、WabiYoga(侘びヨガ)のインストラクター第1号の資格を取得した。今後は国内だけでなく、世界に向けて侘びと茶道、日本の美しい文化を発信していく予定。

http://www.hasegawarie.jp/

平均寿命にまで影響を及ぼす、若い女性の「やせすぎ」問題

近年は「やせすぎ」の若い女性が増えており、厚生労働省の「国民健康・栄養調査」(平成25年度)でも20代女性のやせの問題が指摘されています。同省による10か年計画「健康日本21(第二次)」でも、目標のひとつとして「女性のやせ(BMI=体重と身長から肥満度を示す体格指数:18.5未満)の減少」が掲げられており、最新の調査では20代女性のたんぱく質、カルシウム摂取量が、60代女性よりも少ないという結果も出ているほど状況は深刻です。

実際「やせすぎ」には、どのような危険があるのでしょうか。シンポジウムの冒頭で「女性のやせと健康」をテーマに講演を行なった早稲田大学理工学術院理工学研究所の福岡秀興教授によると、急激にやせると低エストロゲン血症となり、月経不順や無月経など卵巣機能の低下が考えられるそうです。また、やせによる卵巣機能の低下は治療が困難で、体重がもとに戻っても半数の人は回復しないそうです。

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早稲田大学理工学術院理工学研究所 福岡秀興教授

このほかにも福岡教授は、やせすぎや栄養不足が引き起こす多くの身体的、精神的疾患を紹介。カルシウムは思春期に多く蓄積されるため、そのタイミングで骨密度が低下すると、大人になってからでは回復が困難であること。

ビタミンDが不足すると低体重児が生まれやすく、生まれてきた子どもが骨格異常を起こす「小児くる病」になる確率も高まること。こうした悪影響は本人のみならず、次世代にも遺伝するため、このままでは平均寿命も短縮していくと危機感をあらわにされていました。

4人に1人の女性が朝ごはんを抜いている

続いて登壇した神奈川県鎌倉保健福祉事務所の赤枝いつみ保健福祉部長は、「次世代に伝えつなげる食育 ―思春期から成人期までの食生活、栄養のあり方―」をテーマに講演。

神奈川県は全国平均と比べても、若い女性のやせの割合が多く、特に20~30代は欠食率も高いという調査結果があることから、「朝食を食べることを知らない子どもが増えるかもしれない」と話していたことが印象的でした。

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神奈川県鎌倉保健福祉事務所 赤枝いつみ保健福祉部長

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実際に「国民健康・栄養調査」(平成27年度)では、20代女性の朝食の欠食率は25%にも達しており、こうした世代が親になることで、子どもも欠食が当たり前の環境で育ってしまうことが危惧されています。また、女子中高生の70~80%、小学校3年生でも約30%がやせたい願望を持っているという調査結果にも触れ、やせの問題がいかに喫緊の課題であるかを丁寧なデータとともに提起していました。

フランスでは、BMIが18以下のモデルを起用すると罰金が法令化

こうした若い女性のやせ願望は、テレビや雑誌、インターネットなどのメディアで日々報じられる流行への憧れから生ずるものと考えられますが、そのおおもととなるファッションの世界では、どのような潮流があるのでしょうか。それに答えてくれたのが、ゲストとして登壇したファッションジャーナリストの生駒芳子さんでした。

『VOGUE JAPAN』『ELLE JAPON』の副編集長、『marie claire』の編集長を歴任した生駒さんは、「ファッションアイコンの歴史に見る健康的な「美」とは?」をテーマに講演。

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生駒芳子

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生駒さんによると、オードリー・ヘプバーンやツイッギーなど、華奢な体型のファッションアイコンは古くからいましたが、やせすぎとされる体型がファッションの世界で問題になったのは、2000年頃から台頭した東欧諸国の華奢なモデルたちがきっかけだったそうです。

彼女たちが『パリ・コレクション』などで注目を集め、メディアでも露出が続いた結果、フランスでは2016年にBMIが18以下のモデルの起用禁止を法令化。フランスにはすでに4万人もの拒食症患者がおり、そのうち90%を12~20歳の女性が占めていたため、これを政府が重く受け止めての動きだったと生駒さんは言います。

一方で『東京ガールズコレクション』など、日本のファッション界では健康的な女性を起用する傾向にあるそうです。近年では女性誌の特集も変化し、ダイエットに関してもヘルシーでオーガニックなものが増加。

生駒さんも『marie claire』編集長時代から「21世紀の女性の美しさは内側からの輝き」「美容液を塗る以前に血液をきれいにしよう」と主張していたそうで、ライフスタイルも含めてファッションが語られる時代になってきていると、実体験を交えて紹介されていました。

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長谷川理恵が、ファッション誌専属モデル時代の「やせ」の苦労を語る

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