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栄養の知識

痛風は男性だけじゃない! 女性は閉経後に注意しましょう

痛風は男性だけじゃない! 女性は閉経後に注意しましょう

新井 英一

監修
新井 英一
栄養素の代謝に魅了され、人間栄養学を支える研究教育者
  • テキスト
    ニュータス編集部

2018年06月06日[2018年09月03日更新]

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痛風はある日突然、足の指や足首などの関節が激しい痛みに襲われる病気です。発症すると、「風が吹いても痛い」ことから「痛風」と呼ばれています。別名「痛風関節炎」で、血液中の尿酸値が高いといわれたら要注意です。一般的には40~50代の男性に多い病気ですが、女性も閉経を過ぎるとリスクが高まります。激痛に身もだえしなくて済むように、病気のしくみを知って、早めに対策を立てましょう。

痛みがなくても、血液中の尿酸値が高くなったら要注意!

痛風は、血液中に尿酸が増えると発症するリスクが高まります。この尿酸の原料となるのがプリン体です。

卵と牛乳で作るプリンとは関係なく、プリン体は英語では「Purine」と表記します。プリン体はさまざまな食品に含まれ、細胞中の核酸【※】を構成します。プリン体を含む食事を摂り小腸で吸収された後、肝臓で分解され、最終的に尿酸になって尿や便とともに体外に排出されます。

プリン体をとり過ぎると

プリン体をとり過ぎると、血液中の尿酸濃度が上昇します。
血液に溶けなくなった多くの尿酸が関節内で結晶となり、それを敵とみなした白血球が集まって攻撃を始めると、痛みとなって現われます。

また、腎臓病などの障害で、尿酸の排泄ができなくなると、血液中の尿酸濃度が上昇することもあります。

血液検査の尿酸値をチェック!

痛みが現れる前に、血液中の尿酸が多くなった状態が「高尿酸血症」です。血液検査をして、尿酸値が7.0mg/dlを超えると高尿酸血症と診断され、痛風予備群として注意が必要になります。

平成28年国民生活基礎調査によると痛風の通院者率は男性50代で26.3%、60代では36.8%、女性は50代で0.8%、60代では1.1%と年齢が上がるにつれて男女ともに罹患リスクが高まっています。

女性ホルモンのおかげで女性には少ない痛風
しかし油断は禁物!

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痛風の患者は、圧倒的に40~50代男性に多いのが特徴です。というのも、女性の場合は女性ホルモンが尿酸の排泄を増やす役割をするため、尿酸値が高くなりにくいからです。だからと言って、油断は禁物です! 

女性であっても、プリン体のとり過ぎや多量の飲酒、肥満、過度のストレスなど、尿酸の量が多くなる生活習慣に心当たりがある人は注意が必要です。

とくに、更年期になって女性ホルモンが減少すると、尿酸が体外に排泄されにくくなるため、定期的な検査をおすすめします。

高尿酸血症といっても、痛みなどの自覚症状がないため、検査数値が悪くても放置しがちですが、高血圧や脂質異常症、腎臓病などを合併しやすいため、早めの対処が必須です。

では、どんな対処法があるのか、具体的にみていきましょう。

尿酸値を下げる生活は、あらゆる生活習慣病も予防

「尿酸値が高い」といわれたら、尿酸値を下げる食事や生活習慣を身につけることが大切です。

1.「肥満」の人は標準体重を目指して減量を

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肥満は尿酸値を高める原因となります。痛風の合併症のリスクも高めるため、標準体重になるよう食生活を工夫するとともに、ウォーキングなどの運動習慣を身につけましょう。

  • 標準体重の計算式
    標準体重(kg)=身長(m)×身長(m)×22(BMI)

    例)身長160㎝の人の場合
    1.6(m)×1.6(m)×22(BMI)=56.32(kg)

2.「腹八分目」を忘れずに

食べ過ぎると、肥満の原因になるばかりでなく、プリン体をとり過ぎてしまいます。常日頃から腹八分目を心がけましょう。具体的な対策としては、下記のように食べ過ぎない工夫や、野菜の積極的な摂取、バランスのよい食事を実践しましょう。

  • 尿酸値を下げる食生活

    ・量が多いと思ったら、無理をせずに残す。
    ・食事にメリハリをつけて、だらだら食べをしない。
    ・野菜を十分食べる。
    ・一汁二菜もしくは一汁三菜の食事を心がける。

3.プリン体を多く含む食品を控えめに

プリン体は、細胞の中の核酸に含まれるため、細胞数の多いものや、細胞分裂の盛んなものに多く含まれます。

肉や魚の内臓など、おいしいものに多いのですが、できるだけ控えめにして、少量ずつ楽しみましょう。果物に多く含まれる果糖(フルクトース)も、尿酸値を上げる原因になるので要注意です。

また、プリン体は水に溶けやすいので、自宅で料理をするときの調理法は「焼く・炒める」よりも「煮る・茹でる」方法を意識しましょう。 

4.アルコールは適量に!

大量の飲酒は、尿酸値を上げます。
「プリン体が含まれるビールさえ飲まなければ・・・」とよく言われますが、お酒であれば、ビール、ワイン、日本酒、ウイスキーに関係なく、尿酸値は上がります。また、同じ適量の場合、お酒の強い人は弱い人より尿酸値が上がると言われています。

お酒の適量.jpg

 

まとめ

食べ過ぎは、痛風や高尿酸血症だけでなく、様々な生活習慣病のリスクを高めます。おいしいものは少しずつ楽しみながら、ちょっと食べ過ぎたなと思うときは、運動量を増やすなど、全体のバランスを考えながら生活を工夫しましょう。

それが自然に、あらゆる生活習慣病を予防することにつながります。

【※】核酸とは細胞の中心核の中にあるDNA(デオキシリボ核酸)とRNA(リボ核酸)のことで、DNAは遺伝子の本体であり、RNAはDNAの遺伝子情報をもとにたんぱく質合成に関わります。

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