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乳幼児にみる、食物アレルギー入門編

乳幼児にみる、食物アレルギー入門編

有尾 正子

監修
有尾 正子
“元気”をよくばる管理栄養士‼
  • テキスト
    ニュータス編集部

2018年07月31日[2018年09月03日更新]

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今では国民の3分の1が、何らかのアレルギーを持っているといわれています。 食物アレルギーはどの年齢でも発症する可能性はありますが、圧倒的に多いのは1歳未満です。
対応を間違うと「大事に至る」こともあるし、逆に、子どもの食生活を偏狭にしてしまう危険性も含んでいます。

アレルギーとは

アレルギーとは、体内で有害物質と戦う免疫が、本来は無害なはずの食べ物や花粉に対して、過剰な反応を示して起こるものです。

この原因となるたんぱく質をアレルゲン(抗原)といいます。

症状としては、皮膚や粘膜に多少のかゆみを感じるような軽いものから、下痢・嘔吐などの消化器症状、ひどい場合はアナフィラキシーショックを起こし死に至ることまであります。

しかし、同じような症状を起こしていても、食物アレルギーではない場合もあるため、自分で判断はしないようにしましょう。

初めて「外界」に触れる赤ちゃんの拒否反応

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お母さんの胎内にいるとき、胎児は外界とはまったく接触がありません。
生まれてはじめて、外気に触れ、口から母乳を飲みます。
母乳以外の食べ物にもはじめて接するのです。
「拒否反応」も起こすこともあるでしょう。

乳幼児は、消化器官も皮膚も大人のようには発達していません。大人であれば「食べ物」として認知できる物であっても、「敵」とみなして攻撃してしまうこともあるでしょう。

それが食物アレルギーです。

消化器官で拒否反応が起こると、その「異常」は皮膚にも伝達します。皮膚も過敏になってアトピー性皮膚炎が誘発されることもあります。

すると、その刺激がまた消化器官に伝わって、食物アレルギーをさらに悪化させる、という悪循環さえ起こります。

かといって、乳幼児に何も与えないわけにはいきません。食物アレルギーが出ることにも留意をしながら、少しずつ少しずつ食べ物を与えていきましょう。

食物アレルギーがまだ出ていない子に、調べもせずに、牛乳を与えないというような「除去食」を実施する必要はありません。また、母親が(いたずらに)自分自身の食事から鶏卵を取り除くようなことも必要ないでしょう。

はじめて与える食材は「ごくわずかな量」に

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アレルギー検査をしない限り、どの食材がアレルゲンにあたるかは、実際に食べさせてみないとわかりません。

そのため、はじめて与える食材は「ごくわずかな量」にしましょう。
2度3度食べさせても大丈夫なら、アレルギーの心配はないと考えてもよさそうです。

食後に、湿疹やじんましんなどの皮膚症状や、下痢や嘔吐の症状が出たら、アレルゲン(食物アレルギーの原因となる食品)に反応していると考えられます。

そのときは、いったん食べさせるのを中止して、専門医を受診するようにしましょう。

年齢別「食物アレルギーの原因食物」順位
(上位第3位まで)

順位 0歳 1歳 2〜3歳 4〜6歳 7〜19歳 20歳以上
1位 鶏卵 鶏卵 魚卵 果物 甲殻類 小麦
2位 牛乳 魚卵 鶏卵 鶏卵 果物 小麦
3位 小麦 牛乳 ピーナッツ ピーナッツ 鶏卵 甲殻類

「アレルギー 2016:65:942-6」より作成

上の表は、年齢別にみるアレルギー原因の上位3つの食材です。
乳幼児では鶏卵・牛乳・小麦・魚卵・ピーナッツなど、特定の食材に限定されています。
かつ、出現の多さを見ると、鶏卵・牛乳乳製品・小麦の3つで役70%近くを占めます。これらの食材を与える時は、特に食後の様子を見守りましょう。

小学校に上がる頃には治ることが多い 

もし子どもにアレルギーが判明したら、親の自己判断ではなく、専門医に相談しましょう。逆に、アレルギーが発症していないのであれば、やはり自己判断で除去食に走るのではなく、少しずつ多種類の食材を与えるようにしましょう。

また、アレルギーがある子でも、医師の指導の下に食べられる食材を増やしていくことも大切です。小学校に上がる頃には、アレルギーが治る可能性も高いです。多くの食材を食べられるほうが、その子の人生は豊かになります。

まとめ

乳児の免疫機能(外部の敵と戦う機能)や消化機能はまだまだ未発達です。
大切な食べ物を上手に取り入れられなかったり、敵と勘違いして攻撃したりしてしまいがちです。

アレルギーの心配がある子も・ない子も、もちろん、最初はごく少量ずつから与えますが、もし、ちょっと口にしただけでも何か変化があったら、いったんは与えるのを中止して、専門医を受診して調べることが肝心です。

そこで「食物アレルギー」だと診断されたら、その食べ物は除去しなければなりません。逆に、その食べ物がその子にとって「アレルゲン」ではないのであれば、いたずらに避ける必要はありません。

専門家の指導の下で、注意深く少しずつ与える量を増やしていきましょう。


日本アレルギー学会専門医・指導医一覧(一般用)

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