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子どもの体力が落ちているってホント? じつは奥深い体力の秘密

子どもの体力が落ちているってホント? じつは奥深い体力の秘密

三好 美紀

監修
三好 美紀
専門は国際栄養学、公衆栄養学。食育研究にも関わってきました。
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    ニュータス編集部

2017年04月18日[2018年04月11日更新]

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「子どもたちの体力が年々落ちている」というニュースを耳にしたことがある方も多いのではないでしょうか? 実際に文部科学省が1964年(昭和39年)から行っている「体力・運動能力調査」では、現在の子どもの体力・運動能力をその親の世代である30年前と比較すると、ほとんどのテスト項目において、子ども世代が親世代を下まわっていることが報告されています。そんななか、元気な子どもの成長を見守るにはどんなことに気をつけたら良いのでしょうか。子どもの「体力」について考えてみましょう!

体力の正体って、何だろう?

ひとくちに体力といっても、「スピード」「パワー」「スタミナ」など、運動の基礎である行動体力と、病気やストレスからからだを守る免疫に関わる防衛体力の2つがあります。つまり、運動能力のことだけを「体力」というのではありません。

そしてこの2つは、相互に関わり合っています。「今日は体調が良いから、パワーも出てるね!」というように、防衛体力が行動体力を支えているのです。

知っておきたい、大人とは違う子どもの体力の特徴

大人と比べたときの子どもの体力の特徴

  1. 有酸素性能力  :やや弱い
  2. 無酸素能力   :低い
  3. 疲労からの回復力:高い
  4. 心拍数の増加  :大きい
  5. 心拍出量    :低い
  6. 酸素運搬能力  :低い
  7. 呼吸数     :多い
  8. 筋力      :低い
  9. 筋持久力    :低い
  10. パワー     :低い
  11. 柔軟性     :高い

出展:日本体育協会 夏のトレーニングガイドブック

体力にはいろんな要素があり、また子どもと大人でもその特徴は大きく違います。上の図からもわかるように、子どものうちは疲労回復能力や柔軟性が大人よりも高いものの、筋力や持久力などは低く、全体的な能力で見ても大人と比べて低いのが特徴です。

scamon.jpg

上の図は「スキャモンの発達・発育曲線」といって、子どもの発達曲線を4つの型(部位)に分けたものです。

神経系型(脳、脊髄、視覚器、頭径)、リンパ系型(胸腫、リンパ節、同質性リンパ組織)、一般型(頭径を除く全身の計測値、呼吸器、消化器、腎、心大動脈、脾、筋全体、骨全体、血液量)、生殖器系型(睾丸、卵巣、副睾丸、子宮、前立腺など)の4つの型によって、それぞれに発達スピードが異なっているのが、この表を見るとよくわかります。そのため、子どものうちはまだしっかりできていない臓器や器官があり、大人と比べて体力がないのです。

子どもの体力テスト事情

国民に対する体力テストは、1964年(昭和39年)から現在まで続いていますが、1999年(平成11年)からは広く健康に役立てるため、6歳から79歳までを対象とした「新体力テスト」に変更されました。新体力テストの特徴は、屋内で実施できて、特別な器具が必要ないということ。より手軽に行えるようになったということですね。

実施する項目は、全年代に共通する握力、上体起こし、長座体前屈のほか、小学生では反復横とび、20mシャトルラン、50m走、立ち幅とび、ソフトボール投げが行われています。

体力・運動能力調査(文部科学省)

体力測定(日本体育協会)

日本スポーツ振興会

子どもの体力が落ちているってホント?

さて、「最近、子どもの体力が落ちている」という調査結果の話ですが、注意すべき点は、体力全体が落ちているわけではないということ。実際に落ちているのは、体力テストで測る「行動体力」であり、免疫力などの「防衛体力」が落ちているという調査結果は出ていません。

さらに、子どもの体力が落ちてきたというのは、1985年(昭和60年)と現代の調査を比較してのこと。ここ10年程度は横ばいか、やや上昇しているのが実際のところです。

体力のピークと子ども時代からの体力づくり

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体力のピークは20歳くらいといわれており、ピークを過ぎると徐々に落ちていきます。つまり20歳をすぎてからの体力は、ピーク時の体力を高いレベルに持っていくことが重要になってくるわけです。そのためにも、子ども時代からの体力づくりが大切です。

そこで、子どもには外で遊ぶ機会を積極的に与えてみましょう。鉄棒に縄跳び、マット遊びなど、いろんなバリエーションの運動をさせることも大切です。親子で一緒に運動するのもいいですね。

体力づくりでは「噛む力」にも目を向けてみて

子どもの体力づくりは運動も大切ですが、「防衛体力」である免疫力をアップするために、「噛む力」をつけることも大切です。ついやわらかい、食べやすい食べ物ばかりになっていませんか?

人は「噛む」ことで副交感神経が刺激され、白血球のなかのリンパ球の数が増えることで、免疫力アップにつながります。また、よく噛むことによって(消化だけでなく殺菌作用もある)唾液が大量に分泌されます。

みりん干しや生野菜スティックサラダ(にんじん、大根、きゅうり)など、噛みごたえのある食材を普段の食事にとりいれる、親子で一緒にしっかり噛んで食べる習慣をつけるなど、日頃から気をつけてみてください。運動能力だけでなく噛む力を身につけさせて、体力を底上げしていきましょう!

まとめ

子どもの体力は、生活スタイルの変化もあってか、たしかに昭和の終わりごろと比べると落ちています。ただ下がり続けているというわけではないので、あまり悲観しないでください。外遊びを増やしたり、「噛む力」をつける食事や食習慣を身につけたりすることが大切です。ママやパパが一緒になって取り組めば、より効果的ですよ。

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